国民健康保険や国民年金を払ってない人を扶養家族にできるのか?
国民健康保険料も払っていない、国民年金も払っていない、自営業で確定申告もマトモにしていない、こういう人が世の中には結構存在します。
この手の人にはざっくり二つパターンがあります。
(1)所得を掴まれていて、国民健康保険料等の督促が来てるけど払ってないケース→差し押さえを食らう可能性があります。そもそも財産があれば、ですが。
(2)所得ゼロと認識されていて、国民健康保険料等はほぼミニマムの支払で済んでいるケースですね→何千円かを払えばチャラになりますね。
現金商売で売上を適当にできる方々の場合は(2)が多いかもしれませんが、それもできない人は(1)になってもがき苦しむパターンです。
さて、このようなAさんが存在していたとします。
で、Aさんの家族(たとえば子供さん)が不憫に思って、このAさんを扶養家族として迎え入れようとします。
このとき、この子供さんにはリスクが発生するのでしょうか?
また、この子供さんの扶養になることでAさんにリスクは発生するのでしょうか?
答えは、今のところNOです。
Aさんの子供さんが中小企業で働いている場合、おそらく協会健保に加入していると思われます。
この協会健保は、Aさんが国民健康保険を滞納したりしてグチャグチャになってることも国民年金を払ってないことも情報として入手できないのです。
なぜなら、組織が全くベツモノだからです。役所の横つながりのなさの弊害と呼べるでしょう。
ただし、2016年から始まるマイナンバー制が適切に導入されたとすれば、この弊害は完全に解消されることになります。
つまり、Aさんの国民健康保険の滞納も、理論的にはAさんの子供の扶養に入った時点で色んなところにOPENになっているはずなのです。
色んな意味で2015年のうちに整理して綺麗にできるところを綺麗にするというのは必須かもしれません。
バレてから払うとなるとペナルティは大きいです。
2015年はターニングポイントの年です。
消費税が免税になる売上1000万円の意味を知っていますか?
消費税免税になる売上高1000万円の意味とは
結論からいくと、基準期間<前の前の年のイメージ>の課税売上高が1,000万円以下であれば消費税は免税になります。
よく給与や外注費があるから相殺されるのでは?という質問を頂きますが、経費は関係なしです。売上のみで判断します。
<注意1>
その基準期間が12ヶ月に満たない場合があります。設立初年度などはそうでしょう。この場合は12ヶ月に換算した売上高が1000万円かどうかで判断します。
でも個人事業の基準期間が12ヶ月に満たない場合でも、12ヶ月に換算する必要はありません。そのままの売上を使います。
これは注意すべきところです。
<注意2>
課税売上高の中身にも要注意です。輸出などの売上は免税になるものですが、これは課税売上に含めて計算します。でも、値引きや返品は控除して考えることができます。まあこれは当然といえば当然ですが・・・・・
<注意3>
課税売上高の1000万円には消費税が含まれるかどうかですが、結論は含まれません。つまり税抜額で考えればOKです。
ただ、かりにそのタイミングで免税業者の場合<事例としてはかなり多いはず>、税抜も税込もありません。合算して考えますので、実質的にはこの場合は税込と考えることになります。
<注意4>
新設法人の場合は資本金が1000万円以上の場合、納税義務が生まれます。上記の趣旨でいけば、基準期間の売上はゼロというかそもそも存在しないので、免税になりそうですが、資本金の基準でアウトになります。
<注意5>
基準期間だけではなく、特定期間という概念による縛りもあります。これは、簡潔にいうと、前年上期の売上高もしくは給与額が1000万円を超えている場合は、基準期間がOKでも、免税にはならないよということです。
社用車は個人名義でも法人名義でもいいのか?
会社で使う車を法人名義で購入するか個人名義で購入するか、たまに聞かれます。
そもそも普通に考えると、法人で使用する車は法人名義で購入するのが自然ですし、それであれば特に問題はありません。
でも個人名義で買いたい人もいるんですよね。理由は色々あるようですが・・・・・
例えば、個人名義で買うと自動車保険の等級が低く抑えられるとか、障害者なので自動車税が安くなるとか、色々ですね。
1000万円の新車を法人名義で買う場合
①6年に渡って1000万円を減価償却できます(結果的に1000万円の経費が出来ます)
②その間の自動車税・自動車保険・ガソリン代等の全てを経費として扱えます。
1000万円の新車を個人名義で買う場合
①減価償却はできません。
②その間の自動車税・自動車保険・ガソリン等等の全てを経費として扱う場合には税務署からの否認リスクがあります。
とはいえ、個人名義の車を減価償却している兵もいます。税務調査で指摘されなかったケースもあります(単に見てなかっただけということもできますが)。
最悪のケースを考えると、自動車税(20万円)・自動車保険(20万円・ガソリン代(40万円)の年間金額を80万円とすると、6年で480万円になります。
減価償却1000万円の違いを考えると、法人名義と個人名義の差で1500万円の経費を無駄にする可能性があります。
法人税と消費税を単純に40%で見積もったとしても、税金額で600万円の違いが出ます。
こう考えると、保険の等級とかを考えずに法人名義にするのが最も安全な策のように思います。
両方ゲットしたい経営者の気持ちは分かるのですが・・・・・・・・・・・・
公認会計士や税理士を目指す高校生へ言いたいこと
最近、多くの高校生と話す機会がありました。
税理士業をやっている職業柄か、『将来は税理士になりたい』という夢を見ている人に何人も出会いました。
10代のこんなに早い時期から自分の将来の夢を語れるなんて素晴らしいと思っています。そこには尊敬の念があります。
ただ、現実問題として、
税理士業って高校生のみんなが思っている程、夢に満ちた職業ではなくなってきている可能性があります。
マクロ的な最大の現象として、税理士の数は圧倒的に増えているにも関わらず日本の法人数は減少し続けているという事実があります。
これは、簡単な話で単純に税理士一人当たりの仕事量が減り続けていることを指します。
高校生と話しているときに気になったのは「自分が税理士に向いていると言われたから目指したい」「将来一国一城の主になりたいからその近道として税理士になりたい」等といった言葉を聞きました。
正直いって、親の地盤がある等といった特殊要因は別にして、
ゼロから税理士として新規開業するのは厳しい時代です。
税理士としての知識や能力は勿論兼ね備えている前提ではありますが、それ以上の特殊な何かがなければクライアントを獲得するというのは難しいかもしれません。
群を抜いた営業力でもいいし、誰にでも圧倒的に好かれる容姿でもいいし、トリリンガルでもいいし、既存事務所を買収できる資金力でもいいです。
要は純粋な税理士資格とは別の能力が必ず必要になります。他の税理士にはない「特殊なモノ」です。
独立する場合にはこれがなければ、厳しい競争には勝てないと思います。だからこそ、高校生のみんなに言いたいのは「税理士として独立したいのであれば」真っすぐ税理士試験の道を進むのもいいけれど、人と違う道を歩むことで特殊な何かを身につける意識をするのも大事だということです。
生まれ持って特殊能力を兼ね備えている人は少ないです。日本人と外国人のハーフであるとか、親が超金持ちとか、親の人脈がすごいとか、そういうのでなければ、特殊な力を身につける努力が必要です。今から意識してもいいと思います。
日本の教育は概して均質な子供を育てることにあるので、すこしそこからはみ出す勇気も必要です。
逆に純粋に税理士業務を勤めながらでいいから極めたい人は、大手の税理士法人への入社を考えるべきです。そこは完全なサラリーマン社会なので、上司に好かれ、いい大学に行ってて、さわやかに仕事をこなせるサラリーマン的能力が求められます。
かなりシビアな言い方になりますが、税理士資格を持ったからといって順風満帆な人生等ないということを伝えたいのです。
税理士という世界の中で競争があり(それも年々激しくなる競争です)、それに勝つだけの特殊な力、これを高校生のみんなには意識してほしいと思います。