税務調査で売上計漏れやら経費過大計上やらを指摘されて、修正申告を求められるケースはよくある話。
では実際に修正申告というのはどうやって行うのでしょうか?税理士に申告書作成を依頼しているケースは何も考えずに任せましょう。
★まずは税務調査官に相談。
税務調査官に相談するのも最も効率的です。記載方法を聞いて答えてくれればいいですし、もっと突っ込んでもいいでしょう。<私はそんなことできません。だから修正申告書を作ってくれませんか?>と。
税務署は早く調査を終わらせたいので、8割の確率で修正申告書まで作ってくれます。となれば、あとは押印して追徴税金を納付するだけですね。
★税務調査官に相手にされなかった場合は自力で作るしかない。
この場合、注意が必要です。根本的な話ですが、帳簿=会計データは過去の修正という概念はありません。つまり、税務調査による修正申告とは、会計データをそのままにして、税務申告書の中だけで調整するのです。よって、売上や経費や利益といった会計の数値は修正前後で全く変わりません。
法人の場合だと、具体的には別表4、別表5を使って、修正申告書を作成します。この税務申告書で加減算をすることで、追加納税額を計算するんですね。
この別表4や別表5は税務上の損益計算書や貸借対照表みたいなもの。
なので、修正申告が発生するということは、永遠に埋まることのない損益や貸借の差が、会計と税務の間に生まれるということなのです。
まるで七夕の彦星さんみたいな話ですが・・・・・
会社設立の資本金額
会社設立にあたってお客様から1円設立したいとのご相談がありました。このことについて、お客様に私がお答えしたことを少し書かせて頂きます。
①法律上は1円設立はOKです。
2006年の会社法の改正により、法律上、資本金が1円からでも会社設立が可能となりましたので、1円設立もこの点で全く問題ありません。
従いまして、お客様に全く問題なく設立できますよ。とお答えいたしました。
②1円設立、少額資本金での設立のデメリット
よくインターネットで1円設立のデメリットが紹介されています。
この点、「許認可申請面でのデメリット」「銀行融資上のデメリット」「信用面でのデメリット」などが紹介されています。これらのデメリットにつきましては、私も同感で、当然このようなデメリットがあると思います。
ただ、法人化したいというお客様には、それぞれ法人化する理由があると思いますので、上記デメリットがあるから法人化はやめます!という人はあまりいらっしゃいません。
なので、私は、お客様にあまり「こんなデメリットがありますよ!」ということは言わないようにしています。
③税理士、公認会計士として会社経営のサポートをしてきた者としての思い
私は、現在税理士、公認会計士として、多くの経営者様の会社経営のサポートを行っています。
この中でよくお話させて頂く「経営者様の感覚で、大切な感覚」の1つに、「会社財産と個人財産の明確な区別」があると思います。
大きな会社では、これは当然のことです。ただし、設立仕立の会社やまだ小規模の会社では、この感覚をもつことが本当の意味でとても難しいんじゃないかと思うことがよくあります。また、伸びる会社様では、やはり経営者様は、この感覚を持っておられる方が多いような気がします。
この感覚は、節税面でのスキーム構築の際にも必要な感覚でありますし、特に会社経営における資金管理面でも大切なものであると考えます。
資金管理面などから考えると、本当にこの区別は、あたり前のことです。ただ、そのあたり前のことが、気を許すと忘れがちになってしまう場面をほんとに多く見てきました。
経営者様は、会社のお金を自由にでき、またお金には色がついてませんので、個人の財産と会社自身の財産とをしっかり区別し、私的な個人財産を動かしているのか?会社財産を動かしているのか?をしっかり頭に入れていないと知らないうちに区別がつかなくなる場合が多いのではないかと思います。
④1円設立につきまして
話を戻しまして、1円設立についてです。1円設立は可能です。ただ、1円設立をしてしまうと、会社設立当初から、私的財産と会社財産の区別の感覚を麻痺させてしまうリスクがあります。また、会社がいきなり社長から借入を行ってしまいます!
帳簿をキッチリつけていれば、ある程度、会社財産と個人財産の区別は数字上可能です。ただ、常に、今支払っているお金は会社のお金か?個人のお金か?の感覚は忘れないで下さいね。