【飲食店オーナーの昼食代は経費か】と【働く嫁と社会保険扶養の関係】と【信用金庫の分析】と【海外売上の計上】と【2社給与+雑所得の人】

飲食店オーナーの昼食代は経費か

弊社は会社法監査をメインに業務を行っていますが、飲食店を展開する企業様との取引も多いです。また、税務クライアントのお客さんでは、飲食店を経営する法人や個人事業主の方も多いです。栄枯盛衰があるとはいえ飲食店の数は数多いですね。

オーナー様からいつもよく聞かれるのが

「自分の昼食は経費になるのか」ということと「従業員のまかないは経費になるのか」ということ

まず、最初の自分の昼食については、原則的には無理です。だって売上に直接貢献する経費とは認められないですからね。

では、実務現場の現実はどうなんでしょうか。

ここから先は我々が巷で聞く話です。

「昼飯は絶対に一人で行かない。誰かと行って二人分出す」というオーナーがいます。

こうすることで取引先の接待ということで交際費計上するみたいです。善し悪しは別の話ですが、ガストや餃子の王将等の大手のシステマティックな大手飲食店では一人で行くとレシートの隅っこに「1名」と出たりします。また合計金額が低すぎると。誰がどう見ても一人で行ったと判断されてしまいます。

ということで、「経営者が誰かと一緒に昼食をとる」のは一つの戦略であったりします。

同じ発想で、弁当屋でお弁当を買う時も最低2つ買う経営者がいます。余った1個は誰かにあげちゃうんですね。感謝もされるし、交際費として経費計上もできるからというのがその理由のようです。

このあたりは倫理観の問題です。お勧めしているわけでもあるべき論を書いているわけでもありません。いずれにしても実態判断です。


逆に従業員のまかないについては、

税務上は従業員から売価の70%~80%程度の金額をまかない代として徴収していれば問題にならないようです。

とはいえ、これも倫理観の問題ですが、「まかないなんてうちには存在しない」と言い切る飲食店オーナーが多いのも事実。この回答、比較的小規模であれば反証される可能性も低いですが、多店舗展開している企業であれば厳しいでしょうね。


こう考えると、「飲食店で食事をする」という行為だけで経費になるかどうかは分からず、やはり、それがどういう目的でなされたのかが大事になってきそうです。

税務って会計と違い、絶対理論ではなく相対理論なんですね。

 

 

 

働く奥さんの社会保険扶養はどうなっているのか

景気のせいでしょうか、最近多い問い合わせのひとつが、サラリーマンの奥様からのご連絡です。

簡単にいうと、

今まで家計の足しになると思って、パート勤めをしていたけど、さらに、自分の特技を生かして個人事業主的なお仕事をしているケースです。

たとえば、内職をして服を売ってみたり、営業代行的な仕事でバックマージンをもらってみたり、ネット販売の発送のお手伝いをしてみたり。

単なるパートの枠を超えた、新しい所得を得る仕組みを作っている奥様方が非常に多いのが特徴です。

特にインターネットを利用した在宅での事業所得・雑所得の獲得は奥様方にもってこいですね。

その中で奥様方がもっとも気になっているのが、旦那様の社会保険の扶養家族でいたいということです。

特に3号被保険者でいることはかなり有利に働くので、年間基準額の130万円を超えたくないと思っている方も多いようです。

では、実際にこの130万円はどこを見るのでしょうか。

簡単に説明しましょう。

①給与所得の場合

1月から12月までのパート収入から65万円をカットすればいいでしょう。

②その他の収入の場合

売上額から仕入を含む経費をカットした額が収入と考えていいでしょう。

この①と②を合算した額が130万円を超えるかどうか、これがポイントです。

ただし、ひとつ実務的には大きな論点があります。

 

この130万円はいつからいつまでの所得という規定がないのです。

その上、この130万円は基本的に自己申告です。

現実には130万円を大きく超えている方でも旦那様の扶養に入ったままの人は結構いたりします。

もちろん、法的にはNGです。モラルの問題です。

ただ、働く奥様にとっては、社会保険の扶養に入ったままかどうかはかなり重要なポイントになりそうですね。

 

 

信用金庫を分析してみる

私個人的には信用金庫へ監査のお手伝いに行ったことがある関係で、公認会計士として信用金庫への思い入れが非常に強いです。
地方の中小企業のためにはなくてはならない存在になった信用金庫ですが、銀行や信用組合との違いを非常によく聞かれます。
それについてざっくりまとめてみましょう。

根拠法

信用金庫法に基づいて設立されます。銀行は勿論「銀行法」によって設立されます。

設立目的

「国民大衆のために金融の円滑を図り貯蓄の増強に資する」とありますが、実態としては国民大衆というよりは信金の活動エリア内での地元企業や地元住民に対してのサービスがほとんどを占めます。ですので、銀行と違って地域社会に溶け込む力は大きなものがあります。

組織形態

会員の出資による協同組織の非営利法人です。信用組合も同様に組合員の出資による非営利法人となっています。ところが銀行は違います。銀行は株式会社組織の営利法人なんです。

税金

信金は非営利法人、銀行は営利法人なんですが、法人税の課税については違いはあるのでしょうか?
基本的にはありません。どちらにしても、収入から経費を差しい引いた課税所得(簡単に言うと)に対して法人税が課せられます。
非営利法人という組織形態はあくまで利益追求を目的としてやっているわけではなく大義名分(設立目的)のために事業を行っているということです。
結果として課税所得があれば当然信用金庫であっても法人税が課せられます。
とはいえ、信金には優遇措置もあります(このあたりの法律はかなり最近変化しています)
一般貸倒引当金を積む場合に、原則として繰入限度額を通常の銀行よりも多く積んでもいい、法人税率が少し低い等といったものです。
このあたりは銀行よりも優遇されていると言えるでしょう。とはいえ、このあたりの法律もかなり変化してきていますし、今後も変化するでしょう。

ターゲット

信用金庫の場合は地元の規模の小さい事業者や個人という縛りがあります(かなりざっくり書いています)。
ところが銀行にはそういった制限はありません。とはいえ、最近はマネーロンダリングの問題もあって、物理的距離が遠い場合等の審査はかなり銀行内部で厳しく見ているようです。

最近は信用金庫し信用組合の存在意義の議論等も出てきていますが、地域の零細中小企業にとっては大手銀行は敷居が高いもの。
まだまだ存在意義はあるのでは、、、と個人的には思うのですが。。。。

 

 

海外売上の会計処理はどう行うべきか

まず国内の会社(法人)かどうかの判断を行う。

内国法人は全世界所得課税日本国内のみならず国外で発生した所得も含めて課税所得を構成します。しかし外国法人は、国内源泉所得のみに課税されることになります。つまり、日本で登記された会社であれば世界中どこで売上を計上しても全部法人税の課税対象になるということですね。

これは非常にシンプルですが、もうひとつ問題があります。

それは消費税です。

海外取引の場合、国内取引か国外取引かで消費税の課税かどうかが決まります。基本的には、資産の譲渡であれば、資産を引き渡したときの資産の所在場所で決まりますし、役務提供の場合は役務の提供を行った場所により判断することになります。
国内で完結する取引や国外で完結する取引の判断は簡単ですが、両方にまたがる場合はちょっとやっかいです。

①海外工事について日本法人Xが元請し、日本法人Yが下請けとなった場合のX→Yへの工事代金

→役務提供を行った場所は海外です。ですので国外取引となります。

②日本法人Xが、国内で広告の企画を行うとともにフランスで広告掲載を請け負い、フランス法人Yから広告料を貰う場合

→役務の提供地で判断すると国内と国外に跨って行われています。となれば、この場合は、役務提供を行う者の事務所等の所在地=日本となり、国内取引になります。    フランス法人Yは非居住者なので、非居住者への役務の提供として免税取引になります。しかしYが日本支店を有していれば課税取引になります。

③イギリス法人Xが、Xの日本支店を通じて、日本法人Zにソフトウェアを使用させた場合の使用料

→著作権の貸付とみなされ貸付ける者の事務所等の住所地により判定されます。つまりX=イギリスなので、日本支店を介していても、国外取引=不課税取引になります。

 

 

 

2社給与+雑所得のある人の確定申告

最近、よく若い人から受ける問い合わせがあります。

ネット時代だなあと実感するのですが、どんなことかといいますと、、、、、、

①実家で親と同居している。

②でもアルバイトをかけもちで頑張っている。

③それ以外にネットオークションでちょっと趣味のものを売って儲けている

こういうケースが最近非常に多いんですね。

以前だと、アルバイトを2つやっている人はそれだけで肉体的に大変で、さらに雑所得を得ようなどという発想には至らなかったように思うんです。
でも最近はインターネットを利用することで、ちょっと知恵のある若い人が稼ぐことができるようになった気がします。

親のすねかじりで自宅にひきこもっている18歳の若者がFXの自動売買システムを作って年収1億円を超えているケースも結構多いです。

働き方、儲け方が根本的に変化しているのではないでしょうか。

 

さて、話を本題に戻しましょう。

上記の①②③の人は確定申告というめんどくさい手続きを行い必要はあるのでしょうか?

まずは国税庁のホームページを見てみましょう。

●2か所以上の給与をもらっている人で、2社目の給与収入額と商売の利益の合計額が20万円を超える人は確定申告が必要という記載があります。

●ただし、給与額から医療費控除などを控除した額が150万円以下で、かつ、商売の利益が20万円以下であれば申告が必要なし、という但し書きもあります。

つまり簡単にいうと、2社合計のバイト額が150万円を超えてなくて、かつ、ネットでちょっとやった商売が20万円をこえていなければ確定申告は不要ということになります。

じゃあ、数万円超えた場合でも申告しないといけないのでしょうか?

もちろん、原則的にはしなければなりません。追徴の税金が発生するかもしれませんから。

しかし、もっと実務の話をすると、たとえば税務調査官がこの違反に気づいたとして指摘されるかというと、指摘すらしないようにも思います。

なぜって、ここは私見ですが、税務調査官の時給より、追徴できる税金の額が小さければ、本気出して仕事するでしょうか?

いずれにしても一般的には大きな問題が起きないように考えられますが、しかし、ここで実はかなり大きな事案になっているケースがあります。

2社アルバイトのほうではなく、趣味で始めたネットビジネスが大爆発して多額の利益を出してしまったケースです。
こういう人は得てして、商売とか経営に疎いために申告義務についての意識が薄くなりがち。
自分が思いっきり儲かってると思った場合には、かならず税理士や公認会計士の指導を受けたほうがいいと思います。