税務署と労働基準監督署が同時に調査に来た!
税務署の調査【税務調査】、労働基準監督署の調査、この2つは中小企業の経営者の多くにとっては耳が痛い話かもしれません。
いずれの調査も、かなりの確率でお金が出て行くことになります。
※税務調査の場合
経理の金額入力ミス、経費として認められないものの算入、売上や仕入のタイミングのズレ、在庫違算、売上計上漏れ、人件費と外注費の差異、消費税計算ミス等、その要因は挙げればキリがありません。明らかな脱税行為や金額の大きい会社であれば国税庁が動きます。こうなるとかなり強烈ですね。
※労働基準監督署の場合
中小企業に調査が入ることは稀ですが、もし調査が来た場合には内部通報を疑ったほうがいいかもしれません。何もない中小企業には調査が入ることは考えにくいからです。こうなると、ある程度、違反行為を認識した上で調査に入っていますので、正直どうしようもありません。多い事例としては、残業代未払、退職金不払い、不当解雇、有給制度の未確立等です。こちらも挙げればキリがありませんね。
では、この二つが同時【というか連動して】調査に入るということはありうるのでしょうか?
実務上はあります。
たとえば、労働基準監督署の調査で明らかな脱税行為を発見したような場合、税務調査でどうしようもないぐらいの労働基準法違反を発見した場合、各役所は当局に伝える義務まではないものの、昨今の役所間の横の繋がりを考えると、稀に情報交換的なものを行っているようなのです。
もちろん、100%ではありません。義務もないわけですから。
ただ、現実には、税務調査の後、いきなり労働基準監督署が来たとかっていう話はちょくちょく聞きます。
このタイミングの近さには偶然では片付けられないことも多いのです。
従業員や取引先に金を貸す場合には貸金業許可が必要かh2>
特に中小企業に多い事例ですが、会社が社長に金を貸す、取引先に頼まれて金を貸す、従業員からの依頼で金を貸す。
こういった事例はほんとに多いです。当然、世の中一般的な利息をとっているケースがほとんど。
逆に、無利息だと税務署がうるさいですね。税務調査でよく指摘される点でもあります。
ここでよく質問を受けるのが、こうやって貸金業を行っている場合には、貸金業登録は必要ではないかということ。
結論は【不要】です。
なぜなら、【業として行っている】とはいえないからです。業として行うとは、反復継続して、かつ、社会通念上事業として見られることができるもの、という意味。
これに該当すれば貸金業登録が必要になるわけですが、取引先や社長に依頼を受けて突発的に行うような貸付は、【事業】とはみなされないでしょう。
なので、貸金業登録までは不要と考えられます。
また、売買や不動産仲介といったメイン事業のサブ事業として貸金を行う場合も、貸金業登録は不要と解されています。
無料で商品を仕入れた場合の会計処理は?
小売業や卸売業をやっていく中で、稀に無料で商品を仕入れることがあります。色んな事情があるとは思いますが、この場合の正しい処理はどういったものでしょうか?
① 一定の評価基準を基にして評価額を算出し、その金額で 仕入●●円 / 雑収入 ●●円の処理をする。
この雑収入は消費税上の課税売上の計上は不要です。なぜなら対価がないからです。
これに会計処理によって売上と原価の正しい率が算出されますので、最も実態に即した正しい処理といえるでしょう。
②全く何も処理しない。
中小企業(小企業?)の多くでは管理体制が整っておらず無料で仕入れたものまで帳簿付けをしないケースも見受けられます。
この場合は、①で計上した仕入の処理を行わずにいきなり売上が計上されます。この処理だと無料で仕入れた分だけ原価率(利益率)がズレルので正しい原価計算という意味ではズレが生じるでしょう。また、消費税の原則課税の計算においても、課税仕入に計上できるであろう仕入高をゼロにすることになるので、納税者側としては損をします。
逆にいうと、税務署的には得なので、たとえ正しくない②の処理によったとしても、税務調査での指摘は考えにくいでしょう。
結論からいくと、①の処理をするほうが正しいですし、納税者が得をすると思われます。
一定の評価額の算出に恣意性が入る場合は考えものですが、はっきりと仕入価格が分かる場合も多いと思われますので、適正な価格で仕入計上を行うほうがベターです。
小規模企業共済や倒産防止共済は法人化したらどうなるか?
個人事業主として、小規模企業共済や倒産防止共済に入っているケースは多々ありますね。
仮にこの個人事業主の方々が法人化した場合には、どうなるのでしょうか?
個人事業の分に入ったままで法人に新規で加入すればダブルで加入できる。と考えておられる方もいらっしゃいます。
しかし、結論は無理です。
法人化した場合には以下の2つのいずれかの道をたどります。
①共済契約を承継したい旨の届を行い、個人から法人に契約主体を移す。
②この承継ができない場合は、個人事業主時代の分は全て解約されたことになる。つまり一旦ゼロに戻して法人で加入するかどうかですね。
そもそも小規模企業共済は、法人は関係なく個人ベースで加入するものです。法人の役員になって新しく二重で入ろうとしても、加入時点で情報はバレますので、ダブル加入というのは物理的に難しいでしょう。
倒産防止共済の場合、法人の本店や代表者が異なる場合には、機構側のチェック機能が働かずダブルで加入できてしまう結果は想定できます。
ただし、これもいつOPENになるか分かりません。OPENになってしまうと個人事業主分の契約については法人化した時点に遡っての強制解約になるでしょう。
そう考えると、法人化した時点できっちり承継を行うのが最も得する形になりそうですね。
新しい勤務先に前職のことを知られたくない!
今年転職したが履歴書に前職について触れていないので前職の源泉徴収票を出せない。
こういった話は実は毎年頂きます。
結論はたった一つです。
その前に・・・・・・・・ちょっと話はズレマスが・・・・・
仮に、2社給与を合算しても100万円以下のような場合でも年末調整時に新職場に前職の源泉徴収票を出す必要があるか?
というテーマで考えるとどうでしょう?
原則論:金額的縛りはないので、源泉徴収票を出す必要はあります。
実務的には・・・仮に給与所得が103万円以下の場合であれば、所得税も住民税も課税されないです。よって出さなかったからといって追徴課税を食らうようなペナルティにはなかなかならないかと思われます。
さて、話を本題に戻します。前職の源泉徴収票が出せない場合ですね。この場合は・・・・・
「前職の源泉徴収票と今の職場からもらう源泉徴収票の2つを持って、2月15日以降に税務署に行けば誰かが書いてくれます。」
そこでの論点は2つ。
①確定申告出来なかった場合はどうなるか。
給与額、源泉徴収税額にもよりますが、確定申告の結果、還付になる場合と追徴になる場合があります。
還付の場合は本人が損するだけなので、税務署からは指摘がありません。
追徴の場合は、税務署が気付くと追徴税額を言ってくる可能性がありますが、税務署が気付くかどうか、実に微妙です。現実問題としては税務署もこの点はあまり重要視していないように思われます(給与所得がめちゃくちゃ高い人は別ですが)。なぜなら、追徴請求できるといっても金額的にしれているからです。税務署員の人件費を考えると、個人事業主の調査に回る方が金額が大きく追徴できるからですね。税務署もマンパワーには限界がありますので・・・・
だから、人並みの給料の人は確定申告しなかったからといって、脱税だのといったレベルではなく、言われたら「はいはい、払いますよ」という程度のものだとお考え頂いて大丈夫でしょう。
②前職・今の職場から源泉徴収票が貰えない場合
そもそも源泉徴収票を発行する義務は会社にあるので、正々堂々と「源泉徴収票を下さい」と言えばいいです。
ただ、前職との関係で今の職場に源泉徴収票を求めるのが気が引けるといケースもあるようです。この場合は理由を適当に作ればOKです。
例えば、「配偶者の勤務先で私の源泉徴収票を求められています」とか「親戚の住宅ローンの保証人になってあげる関係で源泉徴収票を求められています」とか、「医療費控除があるので確定申告しなければいけません」とか「今年マンション買ったんで住宅ローン控除の関係で確定申告しないといけないんです」とか、もっともらしい理由はいっぱいあります。
とにかく、源泉徴収票は貰いましょう。
賞与金額に不満がある場合は泣き寝入りなのか?
賞与の金額に不満がある、こういった話をよく聞きます。
特に勤務形態が変わった場合(退職してその後再雇用された、契約社員が正社員になった 等)にその不満が出るようですね。
この場合、従業員としては何らかの手を打てるものなのでしょうか?不服を申し立てることができるのでしょうか?
ポイントは以下の3点です。
①就業規則の確認
まずは会社お就業規則の中にある賞与規定を確認しましょう。その中でどういった文言でどうやって支払われるかが書いてあります。
逆に勤務形態が変わった場合等の特殊ケースについては記載がない場合もあります。こういった場合は就業規則で対応できない可能性があるので、個別案件。
就業規則への不記載を理由に、会社と掛け合ってみると良いでしょう。
②他の労働者の状況の確認
他の従業員の人の賞与支払いの状況を確認しましょう。特に勤務形態・勤務経由が類似している人が好ましいですね。同じような賞与支払いしか受けていないのであれば、複数人でもって会社へ掛け合うことも可能になるかもしれません。逆に、自分だけが低い場合にはそのことを理由に話をしてみましょう。
③ユニオンや弁護士や社労士への相談
基本的に日本の法律は労働者保護の観点が強いものです。したがって、交渉になると実は会社の立場の方が弱い場合が非常に多いのです。ただ、会社と一労働者では知識や経験に差があります。
これだけでは会社が圧倒的に有利で言いくるめられる可能性があります。こういう場合にはユニオンや弁護士に相談するのは一手になります。ただ、こうなると「戦い」の要素が強くなるので、
今後も長く勤務していきたいような場合では慎重に進めるべきだと思います。